50年代から60年代にかけて、日本では映画音楽がヒットパレードの上位になるケースがかなりありました。
いまのような「挿入曲」ではなく、映画のテーマ曲として作られた曲、たとえば「エデンの東」とか「太陽がいっぱい」とか、そういった曲です。
「ブーべの恋人」とか「アイドルを探せ」とか、日本語の歌詞がつけられてザ・ピーナッツや中尾ミエなどが歌ってヒット、ということもよくありました。
こういった曲は、もちろん映画の中で使われたテーマ曲や主題歌ですが、日本だけで映画に付け加えられた曲もあるんです。
それが、意外に大ヒットしました。
たとえば「太陽はひとりぼっち」 これはオリジナルのサウンドトラックが地味な曲でした。
日本の配給元で、これでは映画の足を引っ張る恐れがあると判断されたのです。
そこで急きょ別の曲を、当時流行っていたツイストのリズムにアレンジして、さし替えられたそうです。
その演奏が、コレット・テンピア楽団でした。
これが大ヒットして、まるでオリジナルみたいな扱いになってしまったというわけ。
さてこれも当時大ヒットした映画ですね。
「太陽のかけら」この映画音楽も有名ですね。
3連のロッカバラードアレンジがいいですね。
太陽のかけら
このメロディーは、いかにもヨーロッパ映画に出てきそうな雰囲気ですね。
あ、もちろん「太陽のかけら」はヨーロッパのスウェーデンの映画ですが、実はこの曲も映画とは関係ない曲で、日本で差し替えられたようです。
もともとは、Michael Holm が作ったDesert Island という曲で、これが日本では「太陽のかけら」のテーマ曲にされてしまったのです。
このMichael Holmさんのサイトがあります。
Micnael Holm
ひょっとすると、この演奏もコレット・テンピア楽団でしょうか。
ちなみに、このコレット・テンピア楽団の、コレット・テンピアというひとは、どうやら日本人らしいのです。
つまり、日本のオーケストラというわけです。
「S盤アワー わが青春のポップス」 小藤武門 著 によると、コレットは「岡」テンピアは「寺」・・・寺岡さん、寺岡真三と彼の楽団・・・だそうです。
追記 4月9日
あとで、またいろいろ調べたのですが、「太陽はひとりぼっち」のテーマとされる曲を、イタリアのミーナがコレット・テンピア楽団と同じツイストアレンジで歌っているヴァージョンもあるようです。
これは、何なんでしょう?
映画の中で、ミーナが歌っているのでしょうか?
映画はフランスで、歌手がイタリア・・・いや、別に不思議ではないのですが、当時ミーナの歌入りのヴァージョンは聴いたことがなかったので、???ですね。
「太陽は一人ぼっち」のほうは、全然別の曲ではなく、メロディーは使われていたのかもしれません。
それを、寺岡さんがツイストにアレンジして、日本で大ヒット。
さらに、そのアレンジが気に入ったのか、イタリアのミーナが同じスタイルでカヴァーした、ということはあり得ないでしょうか?
追記 その2
YOUTUBEで、この「太陽のかけら」は、あのアッカー・ビルクの演奏だとする書き込みがあるのですが、アッカー・ビルクのCDなどみても入っているものがありません。
日本でこれだけヒットしたものなら、たとえば日本編集のベスト盤などに入っていてもよいと思うのですが・・・。
当時「サウンド・トラック」として発売されたシングル・レコードには名前が出ているのかもしれません。
でも、なぜベスト盤に収録されたりしないのでしょうか?
追記 その3
この「太陽のかけら」のクラリネット演奏は、Roger Bennetという記述が見つかりました。
やはり、アッカー・ビルクではないようです。
このサイトにでています。
KUNGSLEDEN
このサイトでも、テーマ曲はオリジナルではないといっていますね。
追記 その4
やっと正体がわかってきました。
上のMichael Holmさんのサイトを、翻訳サイトで訳してみました。
それによると・・・
この「太陽のかけら」は、ドイツのMichael Holmが16歳の時に書いた曲で、その時はヒットもせず消えて行った。それが、極東の日本に渡り、「名曲」へと変化した。
・・・ということらしいですね。
この曲を、Roger Bennet というミュージシャンがバスクラリネットで演奏したレコードがあり、それを「太陽のかけら」のサウンドトラックとして、映画の中に組み入れたのでしょう。
昔はこんなふうに映画のオリジナルを無視して、日本だけでテーマ曲を入れ替える、ということが普通に行われていたようです。
考えてみたら、この映画・・・たぶん見たような記憶もあるのですが、ストーリーなど全然覚えていません。
それにくらべ、この「テーマ曲」はよく覚えています。
もし、このテーマ曲がなかったら、映画が日本でヒットしたか疑問です。